FC2ブログ

ねことヘアピン

唯梓SS中心に自由気ままに綴るブログです。

| PAGE-SELECT |

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

【唯梓連載「梓の○○」シリーズその1 梓の自覚】

あなたはいつもふざけて私に抱きつくんでしょうけど、
そのたびに私は速くなる胸の鼓動を抑えるのに気が気じゃない。
この不純な気持ちに気づかれたくなくて「離して下さい」と言っても、
より一層きつくきつく抱きしめ離してくれないあなた。
もしかしてあなたも同じ気持ちなのかな?と思わず考えちゃうけど、
背中に伝わるあなたの鼓動は気持ちよくなるほどゆったりとした一定のリズムで…。



私だけこんなドキドキしてずるいです――







【唯梓連載「梓の○○」シリーズその1 梓の自覚】






私が軽音部に入ってから1ヶ月が経とうとしている。
でも最近、私はティータイムばっかりしてだらけてる先輩達を見ていて「この部活大丈夫なのかな?」と不安を感じていた。
だらだらお菓子ばっかり食べて、私の求めていた理想の練習をしない。
そんな先輩達を見ていられなくなった私は、怒ってばかりいた。口癖が「練習!」になってしまったほどだ。
それでもなかなか真面目に練習をしない先輩達に私は痺れを切らして、軽音部を辞めて外のバンドに入ろうと考えた。


そう決意してから私は、ここ数日毎日色々なライブハウスに足を運んでいる。でも、どのバンドの演奏も私の耳には陳腐な音にしか感じない。
毎日音を右から左に聞き流している最中、「なぜ?」とぐるぐる頭の中で考えていた。



―――そもそも私が軽音部に入った理由は何だっけ?












考えても考えても答えが見つからない私は次の日、数日休んでしまっていた軽音部に顔を出しに行った。




「こ、こんにちは…」




音楽準備室のドアをそっと開けると、そこには練習中の先輩達がいた。




(私が居なくてもちゃんと練習してたんだ…)




そんなの当たり前だ。でもなんでか私の胸はチクリと痛くなる。
ドアの近くに立ち尽くしている私に先輩達は気づくと、演奏を止めて一斉にこちらに近づいてきた。




「梓!最近来ないから心配してたんだぞ?どうしたんだ?」





「ここ数日は毎日真面目に練習してたんだぞ!…ってどうしたそんな暗い顔して…まさか辞めるって言いに来たんじゃ…!?」





「梓ちゃん…そうなの?」





(先輩達すごい心配そうな顔してる…言いにくいな。皆さんこんなに心配してくれてたのに、あんな自分勝手な行動してひどい事考えて…)




「あずにゃ~ん!辞めちゃ嫌だよぅ~」




私がいつまでも俯いて黙っていたら、唯先輩はギターを背中に回して私に抱きついてきた。
ふわっと先輩の匂いが私の鼻に入る。




(唯先輩に抱きつかれるの久しぶり…。いい匂い…)




私は久々に先輩に抱きしめられたことにより、不安でいっぱいだった心が少し落ち着いてきた気がした。




(…今なら言える)




「…聞いて下さい。実は私、軽音部辞めようと思ってたんです。軽音部は私の想像していた部活とは少し違いましたから…。
それで他のバンドに入ろうと考えて、数日間部活に行かずにライブハウスに行ってました。…でも、どのバンドの演奏も全然耳に入らないんです。演奏は断然うまいはずなのに、私の心には響かなかったんです。
私、それが何でなのかがいくら考えても分からなくて…。どうしてなんでしょうか…っどうして、私は軽音部に入ろうと思ったんでしょうか…っ教えてください…っ」





ぽたりぽたりと唯先輩の肩を濡らす水滴。
私は感極まって泣いてしまっていた。





(こんな自分勝手に動いて先輩達に心配かけて、挙げ句にこんなへんてこな質問するなんて…私、最悪だ…)





「梓…」




「梓ちゃん…」




「………そうだ!演奏しようよ!」




唯先輩は私からそっと離れると、そんな事を言いだした。




「唯?」




「あずにゃんは新歓で私達の演奏を聴いて入部してくれたんだよ!だからもう一回、あずにゃんのためだけに演奏しよう!そしたらあずにゃんも何か分かるかもしれないよ?」





そう言って「ふんす!」とギターを構える唯先輩。
その真剣な表情に私は少しドキッとした。




「唯…。そうだな!演奏しよう!」




「そうね!やりましょう!」




澪先輩とムギ先輩も自分の持ち場につく。
律先輩もドラム椅子に座り、スティックを上に思いっきり上げ大声を出した。




「梓~!しっかり聴いとけよ!いくぞ、ワンツースリー!」




律先輩の元気な掛け声と合図で演奏が始まる。
曲は私も知っている「わたしの恋はホッチキス」だった。
私は涙で見えない視界を手で擦り、目を凝らしながら先輩達の演奏を聴く。




(唯先輩、私が一週間前に教えたとこまたミスしてる。律先輩のドラムも少し走り気味、…なのに…)




なのに先輩達の演奏は、私の口を通り喉を抜け心臓にまで響き渡る。




つまりとても“良い”んだ。




さっきまで暗い気持ちだった私の心が演奏によって洗われるようだった。



サビに入る直前、パチッと唯先輩と目があった。
先輩はにっこりと私に微笑み、次のフレーズのためにハッと口に酸素を取り込む。
私も先輩に釣られてハッと息を飲みこんだ。




そして―――――












私の目の前は真っ白になっていた。
蘇る記憶。
体育館で見た新入生歓迎会。
そこで初めて見た唯先輩。




先輩は楽しそうにギターを弾いていた。
そんな先輩の姿を見て、この人達と一緒に演奏したらどんなに楽しいんだろうって思ったんだ。
私は足の爪先が痛くても構わずに、めいいっぱい背伸びをしていた。
私の目に、この瞬間が、先輩達が映るように。
私は五感全てを使い演奏を聴いていた。
先輩の歌声、ギターを弾く指先、体育館に広がる優しい匂い、それになにより、唯先輩の笑顔。
私は一目見た時から、唯先輩の笑顔に惹かれていたんだ。
練習ばかりにこだわって、一番大切なことを忘れてしまっていた。





私は唯先輩が、唯先輩のことが―――












ジャーン....








「ふぅ…やっぱ演奏するのは楽しいな!」




「あぁ、良く合ってたよ。きっとみんな同じ気持ちで演奏してたからじゃないかな」




そう言い律先輩と澪先輩は、お互いに顔を合わせながら笑い合った。




「梓ちゃん、どうだった?」



ムギ先輩が私に聞いてくる。とっさに私は答えた。




「あ、はい…すごく、良かったです…。あの、私、聴いてて気づきました、私が軽音部に入った理由…。私、先輩達の演奏が大好きです!なので、良ければまた…その…皆さんと演奏したいです…」




(なんて言ってみたものの、調子良すぎるよね、私。入ったり抜けたりして、こんな自分勝手でうるさい後輩なんて、先輩達うんざりしちゃったかな…。もう取り戻せないのかな…)




そう考えると途端に先輩達の視線が怖くなり、俯いてスカートをぎゅっと強く握り締める。
そうでもしてないと私の体は震えが止まらなかった。




(それでも…怖くても…私、答えが欲しい。)





私はおそるおそる先輩達の方を見た。









私の想像とは裏腹に、先輩達は優しい顔で私の方を見ていた。




「もちろんだ!梓はもう私達のメンバーなんだからな!」





ハニカミながら律先輩は私の頭をぽんぽんと優しく叩いた。




「律先輩…」




「良いに決まってるさ!当たり前だろ?とにかく良かったよ…。
梓、私達のバンドは確かにティータイムとかやっていて、梓からしてみれば真面目じゃないかもしれない。
私も最初はそう思ってたよ。でもこのみんな意外とバンドするとか考えられないんだ。ティータイムあってこそのHTTなんだ。必要な時間なんだよ、うん」



澪先輩はうんうんと頷きながら、私にそう語りかけた。



「はい澪先輩…ごめんなさい。私、練習ばかりにこだわって、大事な事忘れてしまってたんです。私も…私も先輩達意外とバンドを組むのは考えられません!」



「ふふっ、梓ちゃんおかえりなさい」



ムギ先輩はニコニコと優しい笑顔で私の事を迎えてくれた。




「ムギ先輩…ただいまです…」




私は先輩達の優しさにまた泣きそうになってしまう。
でもそこは持ち前の根性でグッと我慢をする。
泣いてばっかりじゃ示しつかないもんね。




そして――――




「あずにゃ~ん!!良かったよぅ~!!」




「すみませんでした、唯先輩…」




ものすごい勢いで唯先輩に抱きつかれた。
演奏したばかりのせいか、先輩の体温はいつも以上に熱く感じる。
唯先輩の腕が私の背中にまわされた。
私も無意識に先輩の背中に腕をまわしていた。




(先輩の体…熱い…頭がくらくらする…気持ちい…)



………
……






「どしたのあずにゃん、なんだかぽーっとしてるよ?」




「にゃ!?」



先輩に抱きしめられたまま顔を覗き込まれて、私は意識が覚醒してくる。




(考えすぎてぽーっとしちゃってたのかな、恥ずかしい…。…てか先輩!顔、近い!先輩の事考えてたからなんだか意識しちゃうよ…)




「でもこんな大人しいあずにゃんも可愛いよぅ~なでなで~」




「うぁ!?」




先輩の手で頭を撫でられた瞬間、ドクン、と私の胸は大きく一度跳ねた。
私の鼓動はそれだけでは収まらず、ドクンドクンドクンと痛いくらい何度も胸を跳ねる。




(な…痛い。なに、どうしちゃったの私の胸…っというか先輩にバレちゃう!おかしいと思われる!)




「は、離れて下さい!苦しいです!」





私は先輩の胸に自分の暴れる鼓動が伝わらないように、無理やり先輩から背中を向ける。
でも先輩は、私の事を後ろから被さるようにさっきよりもきつくきつく抱きしめてきた。




「あずにゃん分が足りないからまだ駄目~♪ぎゅ~」




「ぁぅ…」



私のドクンドクンと高速で打つ鼓動とは正反対に、背中から伝わるゆっくりとした先輩の鼓動。
首に伝わる吐息に、甘い声に、温かい体温に、私の胸の音はおさまらない。





(先輩…どうか、気がつかないで…)






「おふたりさーん、イチャイチャするのもいいけど、ほっとかれてる私達の事も考えてくださーい♪」




急に律先輩のからかう様な声が後ろから聞こえた。




「なっ!イチャイチャなんてしてません!」




茶々を入れられて私は途端に恥ずかしくなり、唯先輩からバッと離れてしまう。



「ぁ~ん、あずにゃーん~もっと~」


そんな事を言いながら、唯先輩が手を広げてふらふらと私の方に近づいてくる。
私はそんな迫ってくる先輩をヒョイっとかわしながら、声を上げた。



「もうしません!さぁ、練習しますよ!」



「え~!今日はもう力使い果たしたよ~」




「まだ下校時間までまで一時間ぐらい残ってます!」




「そんなぁ~。もうっ!りっちゃんのせいだよ。せっかくあずにゃん大人しくて可愛かったのに…ブツブツ」



唯先輩は、口を尖らせながら律先輩に文句を言う。



「ははっ、わりぃわりぃ。だってあのままだと終わりが見えなかったしな!」


そう言いながらカラカラと笑う律先輩。
ふと、ムギ先輩がこっちをウットリと見つめている事に気がついた。



「どうかしましたか?ムギ先輩」



「…yes」



「??」



「…あっ、違うの!ただ唯ちゃんに抱かれて赤くなってる梓ちゃんが可愛くって可愛くって…」




「なっ!赤くなってなんかないですよ!」




私は両手を上げキーっとムギ先輩に反論する。
そんな私を見て先輩達は笑い、澪先輩が頷きながら私に言った。



「確かに唯に懐いてるよな梓は。ギター組としてこれからも仲良くな?」



「み、澪先輩まで!?」













その後は、私の言ったとおりみっちりと一時間練習をした。
律先輩と唯先輩は最初ブツブツ言っていたけれど、練習を始めると皆楽しそうだった。もちろん私も楽しかった。




(やっぱり、私の居場所はここなんだね。もう迷わないよ)





そしてなんとなくだけど気づいた、唯先輩への想い。
他の先輩方ももちろん好きだけど、唯先輩だけは、なんとなく…違う気がする。



(これってやっぱり…こ、こ、こ――)




「あずにゃんどしたの?みんな片付け終わって帰っちゃったよ~私達も帰ろ?」




「……あ…すみません。今片付けます」




何だこのデジャヴは。私は意識を覚醒させる。
練習も終わり、片付けの最中にまたぽーっとしていたようだ。



ムギ先輩達は、何か急いでるとの事で先にそそくさと帰ってしまった。
なんだかムギ先輩が澪先輩と律先輩を引っ張っていた感じだったけど…。



(私と唯先輩の事、気を使ってくれたのかな…。まぁいいや、お陰で二人きりだし…帰りも…ハッ!)



まただ!またぽーっとしてしまうところだった!なんだかさっきから唯先輩の事ばっかり考えてる。
チラッと先輩を見る。
今も私はこんなにドキドキしているのに、先輩は至ってマイペースだ。




「…ずるい」




「むちゅちゅ~♪…ん?何か言った~?」



私の声が良く聞こえなかったみたいだ。
今先輩はギー太に夢中で忙しいらしい。



(ケースに入ってるくせに…ギー太め…)




私はそんな先輩の後ろ姿を見ながら自分のギターを背負う。




「…いえ、…先輩!片付け終わりました!帰りましょう!」



私は先輩の背中に大きな声を出す。



「うんっ帰ろ~!」



私の声が聞こえたのか、先輩はクルッとこっちを振り向くと、にこっと私に笑いかけた。



「!」



私は先輩の笑顔を見ていられなくて、バッと顔を後ろに背ける。



「どしたの?後ろなんか向いて…あ、忘れ物~?」



「ち、ちがいます!早く帰りますよ!」




私は早口でそう言い、先輩に背を向けながら歩き始める。




「え~?なんで怒ってるの~あずにゃ~ん」




早足で歩いている私の背中に抱きついてくる先輩。




背中に伝わるあなたの鼓動は、ゆっくりとしていて心地が良いけれど、私はそれだけじゃ満足できないんです。
私はあなたにこんなにもドキドキしているのだから、あなたも私にドキドキして欲しい。
私を好きになって欲しい。




だから―――




「やってやるです」




「ん~?」




「いえ…帰りましょうか」





いつか絶対、ドキドキさせてみせますから…覚悟しといて下さいね、唯先輩?











To Be Continued




ここまで読んでくれてありがとうございます。
この【梓の自覚】はアニメとか色々参考に書きましたが、律ちゃんが言っていた台詞を唯が言ったりと…なかなかひどいですねw
「梓の○○」シリーズは、あずにゃん頑張れ頑張れ!と言う気持ちで暖かく見守ってくれたらと思います。


一応誤字脱字チェックしましたが、まだまだある可能性【大】です。
見つけた方はコメで指摘などして下さるとありがたいです。

| 【「梓の○○」その1 梓の自覚】 | 23:26 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

| PAGE-SELECT |

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。