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ねことヘアピン

唯梓SS中心に自由気ままに綴るブログです。

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【唯梓連載「梓の○○」シリーズその3 梓の混乱@後編】


【唯梓連載「梓の○○」シリーズその3 梓の混乱@後編】





あれから2日が経過した。
あの晩を境に、私は毎日の様に見ていた不思議な夢を見なくなっていた。
少し残念だが仕方ない。



(夢はただの夢だし…ね)



それよりも今は現実の唯先輩の方が大事である。

唯先輩は、ここ2日前から部活に来なくなっていた。
廊下で見かけてもいつもみたいに抱きついてこないし、休んでいる理由を聞こうとも思うのに、それも叶わずいつの間にか私の横を通り過ぎてしまっている。

部活に行って休んでいる事情を先輩達に聞いてみても、「何か用事が忙しいから休んでいる」としか聞いていないらしい。



そうこうしている内に、唯先輩が来なくなってから3日が過ぎた。

いくら何でも休み過ぎだ。まだまだ出来てないフレーズだっていっぱい有るのに…。
私は律先輩にお願いして、明日唯先輩に部活へ来るよう説得をして貰う事にした。



そして今日、お昼時に律先輩からメールで唯先輩が来るとの連絡が入った。
ちなみに唯先輩は今日も休むつもりでいたらしい。
4日振りに先輩と顔をちゃんと合わす事になる。



(やっと唯先輩に会える)



私は午後の授業を受けながら、放課後の事ばかりを考えていた。










練習前のティータイム。
色とりどりのお菓子に、ムギ先輩の淹れてくれた美味しい紅茶。

いつもなら楽しい時間のはずなのに、ここ最近は会話があまりなくみんな黙々と食べていた。
それは今日も同じくだ。



「唯ちゃん、もうクッキーいいの…?」



大好きなお菓子が目の前にあるのにも関わらず、あまり食べずに手が止まっている唯先輩に、ムギ先輩が心配そうに話し掛けた。



「………」



返事がない。
唯先輩の方を見ると、ぼーっと視点が定まっていないような虚ろな目をしていた。



「唯…?」



隣に座っている律先輩が唯先輩の顔を覗き込む。
律先輩に呼ばれて初めて気が付いたのか、唯先輩はピクッと肩を上下に動かして反応した。



「ぇ、ぁ、な、なに?わ、私なら大丈夫だよ~」



見られている事に気付いた唯先輩は、慌てて手を大げさに振りながらへらへらと私達に笑いかける。
その笑顔はどことなく苦しそうで。
作り笑いをしているのがバレバレだ。



でも私は深く理由を聞き出さなかった。
唯先輩が言いたくなったらきっと話してくれる、と信じているから。
それは他の先輩達も同じだろう。



「そっか…」



律先輩は何か言いたそうな顔をしながらそう呟くと、目線を唯先輩から外した。

また各自主々にお菓子を食べ始める。
…が、やはり会話はない。音楽準備室に再び重い沈黙が走る。


そんな沈黙を一番に破ったのは、唯先輩だった。



「そ、そろそろ練習しようよ!いっぱい休んじゃったから早くギー太弾きたいな~っ」



私は少し離れた席に座っている唯先輩を見る。
先輩はどこか慌てている様な、焦っている感じだった。



(あぁ…唯先輩はこの空気を何とかしなきゃと思ってるんだ)



何か答えようと私は口を開くが、上手く言葉が浮かんでこない。



「…珍しい事もあるもんだな、明日は雪でも降るんじゃないか~?」



先に律先輩がいつもの調子で唯先輩に話し掛けた。
唯先輩は一瞬ホッとしたような顔をした後、いつもの感じでおどけた顔をした。



「ひ、ひどいよ律っちゃん!私だって一応ギタリストなんだから!」



久しぶりの律先輩と唯先輩のふざけ合い。
そんな2人のやり取りを見て安心したのか、澪先輩は軽く息を吐きながら椅子から勢い良く立ち上がった。



「よし、唯も久しぶりで気合い入ってるみたいだし、ちょっと早めだけど練習始めるか!」



澪先輩が椅子から立ち上がるのと同時に、唯先輩達が「おー!」と言う掛け声と共に拳を上へと掲げる。
私も遅れて「おー!」と言いつつ拳を上げた。



唯先輩の一言で、部屋の空気がガラリと一変した。
やっぱり軽音部には唯先輩が必要なのだ。
それに律先輩に澪先輩にムギ先輩。
この4人が集まる事で、軽音部のバランスを上手く保っているのである。


そんな事を考えながら私はチラッと唯先輩を見る。
その時、先輩がギターケースを開けながら溜め息をついている所を、私は見てしまった。










「で、出来たぁ!」


「やりましたね、先輩!」



他の先輩達が帰った後、私はギターパート練習と要して、唯先輩が一番苦手としているフレーズを中心にみっちりと付きっきりで個人レッスンをしていた。

律先輩と澪先輩は、寄りたい本屋が閉まってしまうとの事で先に帰り、ムギ先輩は「終わるまで待っとこうか?」と言ってくれたが、違うパートだし待たせるのは申し訳ないので先に帰って貰った。



「唯先輩はやれば出来るんですから、もっと日頃から練習をry」



先輩が出来た事が嬉しい癖に、私の口からは次々と小言が出てくる。
その間先輩は何故かそわそわと忙しなくしていた。



「う、うん…分かったから、あずにゃん、手…」


「大体唯先輩は…え、手?あっ…!」



私は目線を下に下ろす。
そこにはギュッと先輩の手を握っている自分の手があった。
嬉しさのあまり、無意識に先輩の手を握り締めていたのだ。


私は慌ててバッと先輩の手を離し、一定の距離離れる。
手を離した途端、先輩はせかせかと体を動かしながらギターのストラップを肩から外した。



「そ、そろそろ片付けよっか」


「そ、そうですね」



私達はお互い歯切れの悪い声を出しつつも、ぎこちない雰囲気の中片付けをし始める。



(び、びっくりした…まさか私から握っちゃうなんて…。そういえば唯先輩に触れたの久しぶりだったな…)



私はさっきまで触れていた先輩の手の温もりを思い出す。
しかし唯先輩があんなに動揺しているのは珍しかった。
あれぐらいのスキンシップでどうこうする人じゃないのに。



「じゃ、じゃあ、私片付け終わったから…」



考え事をしていたせいか、先輩の方が先に片付け終わったみたいだ。
先輩はギターを背負いながらドアの方へと歩き出している。



「あ、もう少し待って下さい。今支度します」



私は急いでクロスで磨いたギターをケースへと片付け始める。



「い、いや、さ、先に帰るよ…」


「え?同じ方向なんですし一緒に帰りましょうよ」



先輩の何処かドモっている声に不思議に思いながらも、私はギターから顔を上げて先輩を見た。



「ちょっと私…そ、その、用事が…」



先輩は目を泳がせながらしどろもどろとしている。
その様子は誰が見てもおかしいと感じるだろう。
私は先輩の行動に不審に思いながらも、次の質問をぶつける。



「前から気になってたんですが…最近部活を休んでる用事って何なんですか?」


「い、いや…それは…」



先輩はモゴモゴと聞き取りにくい声で口籠もると、顔を伏せて俯いてしまった。
ドアの前で俯きだんまりになっている先輩に、私はそろそろと近付く。



「唯先輩?」



声を掛けながら、垂れている髪で隠れてしまっている先輩の顔を覗き込む。
すると僅かだが先輩の口が動いた。



「…………めん…‥」


「え?聞こえなかったです。なんです…いだっ!?」



何か呟いたと思ったら、いきなりすぐ傍にある私の鼻にガブリと噛み付いてきた。
私はビックリして、思わず先輩の胸を両手で強く押してしまう。
突き飛ばされた先輩は、ふらっと後ろに倒れそうになりながら私から離れると、急に走ってドアを乱暴に開け、音楽準備室から出て行ってしまった。



「え?…え?」



手で鼻を抑えつつも、音楽室に一人取り残された私は茫然とする。


先輩に噛み付かれた鼻だけが、何時までもヒリヒリとしていた。










To Be Continued




ここまで読んで下さり有難うございます!
なんだかシリアスモードで書いてる時私までモヤモヤとしてしまいました…orz
次も梓視点になりますがお付き合いよろしくお願いします。

さて、次は拍手SSである【吾輩は梓である】の続きを書きつつ、この間コメで要望して下さった拍手SS【トイレ】の続きを書こうと思います。
こちらは完全18禁となりますので、拍手ではなくブログで上げさせて頂きますね。
ではでは!

| 【「梓の○○」その3 梓の混乱】 | 23:38 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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【唯梓連載「梓の○○」シリーズその3 梓の混乱@前編】

キス、キス、キス。
毎晩あなたと過ごす、甘い甘い夢。
夢の中のあなたは私の言う事なす事何でも叶えてくれる。
私を見つめる瞳、灼けるように熱い唇、息をする度に感じる甘い吐息。
夢の中のあなたによって、私の心のタンクはなみなみに満たされていく。


打って変わって現実でのあなたはここ最近ずっとうわの空。
まるであなたの瞳には私の存在なんて映していないみたいで。



夢見がちだった私は、そんなあなたを黙って見る事しか出来ませんでした――





【唯梓連載「梓の○○」シリーズその3 梓の混乱@前編】





『ジリリリリリリリリリ』


バンッ!


『リリッ...』


朝、私はけたたましく鳴る目覚まし時計を片手を伸ばして止めた。



「んんーー!!ふあ~ぁ....」



ベッドから身体を起き上がらせて、腕をグーっと天上に向けて伸ばす。

あれから1週間が経ったというものの、私は毎日先輩との不思議な夢を見続けていた。
でもどうしてかキスを何度かし終えると、必ず意識が遠のき甘い夢から覚めてしまう。
そしてパンツはびしょびしょ洪水状態なのである。

今日もまた、私の下半身は大変な事になっているだろう。
私はパジャマのゴムを引っ張りつつ、そーっと中を覗いてみる。
案の定そこにあるパンティはグッチョリと濡れていた。



(これ、なんなんだろう…)



私はため息を付きながらもベッドから立ち上がり、足音を立てないように洗面所へと向かう。
こんなに濡れてるパンツを家族に見られたら、この歳でおねしょをしたのかと思われる。
そんな事態になったら死ぬほど恥ずかしいので、朝こっそりと洗面所でパンツを洗うのがここ最近の日課になっていた。


今日も私はパンツを洗いながら、さっきまで見ていた甘い夢を思い出す。

私が『キスして』とお願いすると必ず気持ちのいいキスをくれる、夢の中の唯先輩。
昨晩のキスは、また一段と…その…気持ちよかった。
お互いの舌が絡まり合って、脳みそまで蕩けてしまいそうになってしまう。
夢の中での先輩とのキスは、日に日に情熱的になっている様な気がする。



(今日の夜も楽しみだな…えへへ…)



ふと洗面台の鏡を見ると、人に見せられないぐらい物凄く惚けた顔をしている自分が映っていた。
私は蕩けてしまっている思考を切り替えて、学校の支度をし始めた。










今日も放課後は軽音部での部活動だ。
様々な部活の中では珍しい事に、軽音部は学校がある日には毎日活動している。
まぁ練習熱心と言うよりは、みんなで集まってティータイムをするのが主になってるんだけど。


今日も律先輩が『お菓子食べないとドラム叩かない!』と駄々を捏ねたので先にティータイムをする事にしたのだが、珍しく唯先輩は大人しかった。
いつもなら律先輩と一緒にハシャぎ回るのに。
ティータイム中も、唯先輩はお菓子にあまり手をつけずに、ボーっと何かに想い老けている感じだった。


そして現在、みんなで曲の通し演奏を行なっている。
しかしなかなか先に進まない。
唯先輩がさっきから何度も初歩的なミスを繰り返しているからだ。
いつもも少しミスをしたりはするけど、今日のはそれ以前の問題の様な気がする。
先輩達も唯先輩の調子がおかしい事に気付いたみたいで、律先輩がスティックを何度かかき鳴らし演奏は中断になった。



「おい唯、どうした?調子悪いのか?」


「…うん、ごめん。私今日は帰るね」



唯先輩は漠然とした顔でそう言うと、ギー太をケースに片付け始めた。
いきなり帰ると言い出した先輩に私達は心配する。



「大丈夫か?唯」


「唯ちゃん、気をつけて帰ってね?」


「体調悪いんですか?先輩、家まで送りましょうか?」



私も唯先輩の背中に声を掛ける。
少し足元がフラフラしていたため、先輩が1人で家まで帰れるか心配だったからだ。



「だ、大丈夫。1人で帰れるから」



私に背中を向けたまま先輩はそう返事をすると、ギターを背負ってそそくさと音楽準備室から出て行ってしまった。
先輩のあまりの手際の良さに、私は思わずその場で立ち竦んでしまう。
部屋の中に重い沈黙が起きる。



「唯先輩どうしたんでしょうか…?」



唯先輩が出て行ったドアを見つめながら、私は先輩達に尋ねた。



「う~ん…今日学校来てからずっとあんな感じだったんだよな~。心此処にあらず!って感じでさ」


「そういえば今日あまりお菓子食べてなかったよな…」


「うん、いつもなら絶対残さないのに…。何か悩み事でもあるのかしら…」



先輩達も詳しい事は知らないみたいだ。
みんな唯先輩の事を気にして、心配そうな顔をしている。
この後部活を続ける、という雰囲気じゃなかったので、今日の部活はここで終わりになった。



(唯先輩、私の顔見てくれなかった。そんなに体調悪かったのかな…)



私は帰り道、先輩の事を心配に思いながら1人でとぼとぼと帰宅をした。











人間の欲望とは愚かである。
寝る前まではあんなに心配に思っていたのに、今日も私の欲望の塊である夢の中には唯先輩が出てきた。


今日の夢は唯先輩の部屋みたいだ。
ベッドのすぐ横に先輩の相棒であるギー太が立て掛けてある。


私達は向かい合わせになってベッドの上に座っていた。
唯先輩の瞳の中にはしっかりと私の姿が映っている。
まるで私の願望を映してるかのようだ。
先輩は私の肩を押して背中をベッドの壁に押し付けると、顔の横にある壁に手を当てて覆い被さってきた。
今日の先輩は何だか余裕が無さそうに見える。
私はそんな先輩を見つめながらも何時も通りに『キスして下さい』とお願いをする。



『先輩、キスして下さむぅっ!んっ…じゅるっ…んっんっ……ちゅくっ』



言い終える途中で唇を塞がれたと思ったら、すぐに唇を割って先輩の熱い舌が口の中へ入ってきた。



『ふぁ…ちゅる…んちゅっ…しぇんぱ…んくっ』


『ちゅぱっ…ちゅっ、じゅるっ…くちゅっ…』



先輩の舌はネットリとしていて、舌が火傷してしまうかと思うぐらいとても熱い。
次から次から溢れ出てきて飲みきれない唾液が、だらしなく口の端から垂れて首にまで伝ってくる。



『ん…んちゅるっ…あず‥んっ、じゅる…』


『んはっ…ぷぁっ…ちゅくっ、んあっ…ぢゅる…』



唇を合わせてから五分、いや十分位経ったのではないだろうか。
私はそろそろ息が苦しくなってきたので、先輩の背中を「トントン」と軽く叩く。
これが夢の中での私達のキスの終わりの合図になっていた。



『ちゅっちゅっ…ちゅぴっ、んっ…ちゅっ』


『ふっ、ちゅぱっ…じゅるっ…んふっ…ふっ』



終わりの合図を出したのに、先輩はまだ舌を動かし私の口内を舐め回してくる。
私は(気付かなかったのかな?)と思い、今度は少し強めに背中を叩いた。



『ちゅるっ、んっ、せんぱいっ…んむぅ、ふっ…』


『ぢゅるぢゅるっ…んちゅ、ちゅちゅっ、ちゅうぅっ…』



今度こそ私が背中を叩いた事に気付いたはずだ。
しかし先輩が離れる様子は一向に無い。
それどころか体をさらに寄せ付け、鼻息を荒くさせながら私の舌を激しく求めてくる。



『じゅるっ、ふぅっ、ふぅっ、んくっ…ふっ、んむっ、ぢゅるうぅうぅうぅっ!!』


『んあっ…んふっ、あっ、ちゅるぅっ…ふっ、んあっ、んむぅぅーっ!?』



先輩は啜るようにに私の舌に強く吸い付くと、手をスカートの中へと侵入させて来た。
私は先輩の行動に驚いて、綴じていた目を見開く。
すると先輩も目を開けていた。
私達の目線が近距離で混じり合う。
先輩は唾液でテカテカになっている唇を舐めながら、私の瞳をじっと見つめてくる。
その瞳は初めてこの不思議な夢に現れた時の、獣の目になっていた。
私は先輩の熱い瞳から目を離す事が出来ない。
すると先輩はスカートの中に入れている手を動かし、太股をさわさわと撫でてきた。
先輩の手の感触に、勝手に身体がビクッビクッと反応をする。



『んあぁあっ、ふあぁっ、ぅんっ…あぁっ…ん、ちゅうっ、んんっ…』


『じゅるっ…ふうっ、ちゅぱっ…ふうぅぅ、ふうぅぅ!じゅるるちゅるぅっ!』



先輩の手のひらは、円を描く様に私の太股をシツコく這い回る。
それはいつも頭を撫でる時の優しい動きではなく、愛撫的な撫で方でだ。

呼吸が苦しくて私は鼻と肩で息をし始める。
すると先輩の鼻息も段々と荒くなってきた。
顔に当たるお互いの息が熱くて、頭がクラクラと回るような感覚に陥る。
私は気が遠くなりそうな意識のまま、足をジタバタと動かして先輩の手から逃げようと試みる。
しかし抵抗も虚しく、先輩の手のひらはジリジリと太股の付け根にまで伸びてきた。



『いやぁっせんぱ、んむぅっ!?…むぅっ、ぢゅるるるぅっ‥んふぅ…』



酸素が欲しくて、私は先輩の唇から離れるため無理やり頭を横に振り切ろうとする。
しかしすかさず手で後頭部を固定されて、また唇を塞がれてしまった。
首の後ろを掴まれたまま再び濃厚なディープキスを繰り返される。
口内を隅々まで舐められすぎて、まるで口の中の神経が麻痺してしまっているみたいだ。
私は飛んでしまいそうな意識を保つのに精一杯だった。



そして先輩の手がとうとうパンツに触れた瞬間…





私の目の前は真っ白になった――――――












パチっと目が覚めた。ボンヤリと天上が見える。
すごい寝汗を掻いていた。背中が汗でベトベトとしていて気持ちが悪い。
時計を見ると、夜中の2時半頃。寝てからまだ、約2時間半ぐらいしか経っていない。
私は喉がカラカラに渇いている事に気付き、ベッドから立ち上がりリビングへと向かった。



蛇口を捻り、コップに水を汲み一気に喉へと流し込む。
冷たい水を流し込むと、喉が美味しそうにゴクゴクと鳴った。
1杯じゃ足りなかったので、私は3杯程飲み干した。



部屋に戻った私は、何も考えずにもう一度寝る事にした。
汗で濡れているパジャマを着替えようかと一瞬思ったが、面倒なのでそのままベッドに入る。
喉が潤ったからか私はすぐに眠りに落ちる事が出来た。





しかし夢の続きを見る事はなかった――――







【梓の混乱@後編】へ続きます

| 【「梓の○○」その3 梓の混乱】 | 23:32 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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【唯梓連載「梓の○○」シリーズその2 梓の夢想@後編】

【唯梓連載「梓の○○」シリーズその2 梓の夢想@後編】





あの夢を見てからと言うもの、私の思考と欲望は欲張りになっていた。
唯先輩を見ているだけじゃ、抱きしめられるだけじゃ、頭をなでられるだけじゃ、全然足りない。
もっと欲しい。夢の中の先輩に、また“キス”して欲しい。
今日の部活中、私は演奏中も、ティータイムも、先輩の唇ばかりに目がいってしまっていた。
家に帰ってからも、いつもはギターの練習をするのに、今日は真っ先にベットに寝転がり、目を瞑り先輩とのキスばかり妄想していた。



………
……






そんな事をしているうちにもう24時を過ぎている。そろそろ寝なきゃいけない時間だ。
私は枕の下から例の写真を取り出す。
そしてじっと写真の中の唯先輩を見つめて――


「今日も絶対出てきて下さいね」



そう写真の先輩に語りかけながら私はキスを落とした。




夢でまた先輩に会えるように―――
















ここは何処だろう。知らない部屋だ。
でもここには間違いなく、唯先輩がいる。
“匂い”でそう確信した。
ここは唯先輩の匂いでいっぱいなのだ。
私は部屋の中に居るはずの先輩を必死に探す。




『待ってたよ。あずにゃん』




後ろから聞こえた声に、私はバッと振り向く。
そこには唯先輩が立っていた。



『唯先輩…!』




(やっぱり居た…!唯先輩…会えた…また会えた…!)




私は嬉しくて胸がきゅーっとなる。




先輩はベッドに座ると、手をちょいちょいとして私を呼んだ。
私は躊躇わず先輩に近づく。
手を伸ばせば届くぐらいの距離になった瞬間、いきなり先輩は私の腕を掴み、グイッと乱暴に引き寄せ隣に座らせた。




『いたっ!…もうっ、何ですか急に!痛いですよ!……って先輩?』




『…………』




何も答えずに先輩は私を見て笑っている。
先輩の笑い方は、何か企んでいるような感じだった。



『せ…先輩…?』



私は何となく危険を感じる。
私の片腕は先輩に掴まれたままだ。




『あの………ッきゃあ!!』




先輩の顔を覗き込もうとしたら、いきなり肩を強く押され、ベットに押し倒された。
先輩は私の上に馬乗りになり、私の両手首をがっちりと両手で押さえる。
そんな乱暴な先輩に驚いて、私は思わず先輩の事を見上げる。すると先輩の目は、獣の目をしていて、私の事を捕らえていた。
私の体は動かない。動けない。蛇に睨まれたカエル、もといライオンに睨まれたネコ状態だ。




『ねぇあずにゃん。キスしたいって言って?』




先輩は私から目を離さないままそう言ってきた。




『えっ…?』




『ほら、はやく、言って?』




掴まれている先輩の手の力が強まる。
今の先輩はなんだか怖い、素直に従った方が良いだろう。
私は震える声を振り絞った。




『………せ、先輩と…………“キス”したいです…』





『…ありがと』




何故お礼を言われたか、私は理解できなかった。
それよりも今の先輩の雰囲気が怖くて、体が震えてしまう。
そんな震える私を見て、先輩は少し固まると、手首を掴んでいる手の力を少し緩めた。

そして―――



『ちゅっ』




『んっ…』



先輩は私のほっぺに軽くキスをした。
さらに頬から唇の近くに掛けて、軽いキスの嵐が降ってくる。



『ちゅっ、ちゅ、ちゅっ、…ちゅ、ちゅちゅ…』




『ん‥んっ…ん…くふふ、くすぐったいです』




先輩があまりにもちゅっちゅとキスしてくるものだから、私は少しくすぐったくなってしまう。
目を細めながら先輩を見ると、先輩はいつもの優しい綺麗な瞳に戻っていた。
私は心の中でホッとする。
私の中にあった先輩に対する恐怖感がサッパリとなくなり、ただただ先輩が愛おしいという気持ちだけが残る。
私はキスがくすぐったくて笑っていたら、先輩はいきなり私の唇をちゅっと吸ってきた。



『ちゅぱっ』



『んちゅっ』




先輩の唇に引っ張られて、私の唇は先輩に持っていかれそうになる。
先輩はある程度私の唇を引っ張ると、パッと離した。
すぐ離される唇に私はもどかしく感じる。
私達は見つめ合う。
私はもう笑ってない。先輩も真顔だ。
先輩は顔を近づけ、もう一度ちゅっと唇を吸ってきた。



『ちゅーっ』



『んぅ~っ』




さっきよりも強く吸われる。
唇が取れてしまうかと思うほどだ。
先輩は私の唇を念入りに吸い、また離した。
ちゅぱっと厭らしい音が部屋に響く。
先輩は私に被さっていた体を一旦離すと、私の手首を掴んでいた手を離し、直ぐに私の手に絡めて握りしめてきた。
俗に言う“恋人つなぎ”ってやつだ。




(先輩の手…私よりも大きい…それにすごく熱い)





絡めている両手を離さないまま、先輩は私にゆっくりと体重を掛けてくる。
胸が触れ合ってお互いの心臓の音が聞こえた。
私の早く打つ鼓動に、先輩の鼓動が重なる。まるで1つの生き物になったみたいだ。


そしてそのまま先輩は唇を私の唇に強く押し付け、ピクリとも動かなくなった。
私は一生懸命鼻で息をする。先輩も鼻で息をしている様で、顔に当たる二人分の鼻息が熱い。

何分間そのままの状態が続いたか分からない。
ふいに先輩が唇を押し付けたまま、ハッと口で息を出した。
唇に先輩の息が掛かり、私もつられて口で呼吸をしようとする。
その瞬間、私の口の中に先輩の舌が侵入してきた。



『ちゅるっ、ん…むちゅっ、れろ…』



『んっ、くちゅっ…ちゅぱっ…んあっ…』




先輩は私の舌を夢中で絡める。私はそんな先輩から逃げる。


逃げる。追いかける。逃げる。追いかける。


そんな事をし続けているうちに、いつの間にか私の舌は先輩に捕まっていた。



『じゅっ、じゅる…んむっ、ちゅーっ!』



『んぐっ、んふぅ、んっ!んんーっ!?』



口から舌を引っ張り出されたかと思ったら、思いっきり舌を吸われた。
私は口から溢れる唾液を止めることが出来ない。
先輩はそんな私の口の端から伝う唾液に吸いついた。



『ちゅぱっ、…ふぅ、…ねぇ、あずにゃん…』



『はぁ、はぁ…しぇんぱ…』




うまく呂律が回らない。私の舌は疲れてヘタってしまっていた。
なんだか頭もうまく回らない。意識が遠くなるのを感じる。


そんな私を見て、先輩は目を見開いた。



『あず……あ…ゃ…』



耳の遠くから先輩の声がうっすらと聞こえる。

でも先輩の声は私に届く事はなかった―――











To Be Continued






ぎ、ぎりぎり間に合いました。
ここまで読んでくれて有難うございます!
ちゅっちゅしてるシーンは書いてて楽しいですw
この次もまだあずにゃん視点ですが、どうぞマッタリとお付き合い下さいませ♪

とりあえずお風呂入ってきます…

| 【「梓の○○」その2 梓の夢想】 | 23:52 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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【唯梓連載「梓の○○」シリーズその2 梓の夢想@前編】

あなたの柔らかい髪、優しい目、良い匂いのする温かい体。
あなたの全てが愛おしい。
見ているだけで幸せ。一緒にいるだけで幸せ。
好き、好き、大好きです。大好きなんです。
もっともっとあなたとの時間を過ごしたい。


だから、夢でもあなたと一緒にいたいんです――






【唯梓連載「梓の○○」シリーズその2 梓の夢想@前編】








季節は6月中旬。
この間の騒動(?)からこの短期間で、私達メンバーの仲は以前よりはるかに仲良くなっていた。
自分の気持ちに気づいてからというもの、私の唯先輩への想いは大きくなるばかりでいっこうに留まる気がしない。
もちろん前よりは唯先輩と私の距離も縮まったと思う。
でもそれは、先輩・後輩という関係での距離だ。
この前「覚悟して下さい」って(心のなかで)宣言したばかりなのに、実際は何もしていないし、行動にも移していない。



(だって具体的にどうすればいいのか分からないし…)




唯先輩は鈍感だし、多分私の想いには気づいていないだろう。
いや、そこは気付かれても困る気がする。



(私の事気持ち悪いと思われるかもしれないし…もし最悪、この関係が崩れてしまったら…)




そう考えると(今はこのままでもいいかな)と思ってしまっている自分もいる。



(これ以上望んだら、罰が当たる気がするしね)




そう、これは現状維持なのだ。そう自分に言い聞かせた。


決してヘタレなどではない。


断じてヘタレなどではない。





(今の関係で、十分だもん…幸せだし)














今日も無事1日が終わり、私は寝る支度をしていた。




(へへへ…今日はいつもより唯先輩と過ごせた気がする。)





パジャマに着替え、今日の唯先輩の事を思い返しながらふらふらとベットの方へ向かう。





(抱きしめ&頭なでなでのコンボまでしてもらえたし…はふ…幸せだよぅ)





私はぽてっとベットへ寝転がり、そのまま頭をずりずりとずらしながら、枕が置いてある位置探す。
頭が無事枕へと到着したところで、私は1日の大事な締めに取り掛かるために、枕の下から“あるモノ”を手探りで取り出す。




「ぇーと…あっ!あったあった。」




この“あるモノ”とは唯先輩の写真だ。



軽音部のみんなで写した写真は何枚かあるけれども、私は唯先輩だけが写っている写真を持ってはいなかった。
先輩だけを写真で写すのには、かなり高度な技術が必要とされる。
「唯先輩だけ写真撮らせて下さい」と言った日には、間違いなく律先輩からからかわれるのが目にみえていた。
喉から手が出るほど欲しくても、勇気がない私は諦めていたのだ。


ではこの写真はどう手にいれたのか?
この写真は先日、私の靴箱に入っていた。汚れないように透明カバー添付という豪華さで、だ。
誰の仕業かだいたい想像つくけど、これは有り難く頂戴した。




(だってこんなに可愛いんだものね)




私は写真を見つめる。
写真の中の先輩はカメラ目線で、まるで先輩と見つめ合っている感覚に陥る。
それだけで私の胸は、幸せな気持ちでいっぱいになった。



「おやすみ、ゆいせんぱい」




私は寝る前の大事な儀式、写真の唯先輩に「おやすみ」を言うというミッションを無事こなし終えると、大事に元ある場所に戻した。



「…」



ふと、ある事を思いついた私は、写真をもう一度取り出し、誰も居るはずがないのに辺りを確認する。
そして―――



「ちゅっ」



唯先輩の写真に軽くキスをしてしまった。




「キ、キスしちゃった…」



頭がカッカしてきた私はボフッと頭まで布団を被り丸くなる。





「ん…ゆいせんぱ…」





私の眠気は限界だったのだろう。目を閉じると、意識は簡単に現実から遠のいていった。

















『…ゃん……あず…』





『…?』




誰かに肩を揺すられている。
せっかく人が気持ちよく寝ているというのに、誰だこんな事をするのは。





『…ずにゃん…あずにゃ…あずにゃん』





聞きなれた声に、私の意識が覚醒してくる。このほんわかした声は唯先輩だ、間違いない。
私が唯先輩の声を間違えるわけが無い。
それに、私のことを“あずにゃん”と呼ぶのも先輩だけだ。



それより先輩が私を呼んでいる。早く起きないと――





『んっ………ゆいせんぱぃ?』




『あずにゃんやっと起きたよ~』




『ごめんなさい眠りが深かったみたいで…。…それであの、ここ何処ですか?』




『部室だよ~。もうっ、あずにゃん練習中に寝ちゃったんだよ?』




少し困っているような唯先輩の顔が目の前にぼんやりと見える。




『あっ、そうだったんですか…。ごめんなさい』




私は状況を確認するために周りを見渡す。
どうやらソファーで眠ってしまっていたみたいだ。
空は真っ暗になっている。何時間ぐらい寝てたんだろう?




『そういえば…他の皆さんは…?』



『先に帰っちゃったよ~』



『そうですか…』



私は体を起き上がらせる。
ソファーに座り、横になって眠ったせいで少し癖がついてしまった髪の毛を整えていると、今まで膝立ちをしていた先輩が、腰を上げて立ち上がり、くるりと後ろを向いてボフッとソファーに腰を降ろした。



(…な、なんか近い…)



ソファーは結構広いのに、先輩は私のすぐ隣、腕が触れ合うぐらいの距離に座っている。
そして先輩は、ソファーの背もたれにだらーっと体重を預けた。



私は髪を整えている振りをしながら、そんな先輩を横目で盗み見する。
先輩は頭を完全にソファーに預け、顔を天上に向け、目を瞑っていた。



(先輩、少し髪伸びてる)



ソファーの背に広がる柔らかそうな髪を見ながら、私はそんな事を考え、眼を閉じている先輩を見つめていた。




『何見てるの~?』




先輩は目を閉じたまま私に話しかけた。
私は思わずバッと先輩から視線を逸らす。



『み、見てなんかいません!』



『そう?』



『そうです!』



私がそう言うと先輩は納得したみたいで、「ん~ん」と声にならない声を鼻から出し、また静かになった。




(びっくりしたぁ…なんで気づいたんだろ。いつも見ていても絶対気づかないのに…ましてや先輩、目閉じてたのに)




私は赤くなった顔を冷ますため、頬を両手で覆った。
手のひらに頬の熱が吸収されていくのが分かる。
私は目を瞑って、さっきまで見つめていた先輩を思い出す。
いつものぽわぽわな先輩も好きだけど、目を閉じた先輩は新鮮で、素敵だった。
ふわふわな栗色の髪の毛、長い睫毛、そして、ぷにぷにで柔らかそうな唇。



(あの弾力のありそうな唇…触れたらどんなに気持ちいいんだろう)




その唇に触れる方法と言えば…



(やっぱ…キス…だよね………―――ハッ!)




私は不健全な妄想をしそうになり、慌てて首を振る。




『…あずにゃん、私とキスしたくなっちゃったの?』




『…………………えっ!?』




いきなりの先輩の発言に驚き、私は体ごと先輩の方を向く。
なんで私が考えていた事を先輩が…。
まさか妄想していた事を口に出してしまっていたのだろうか。
戸惑いながら先輩の顔を見ると、案の定先輩はまだ目を瞑ったままだった。




『だから~私とキスしたいんじゃないの?』




ようやく先輩は目を開け、こちらを向きそう言う。




『い、いや、それは聞こえてます!2回も言わないで下さい!
そうじゃなくて、なんでいきなりキ、きs』




『え~?だってキスしたくて私のこと見てたんじゃないの?』




先輩は首を傾げ、不思議そうな顔をして私に聞いてくる。




『ち、違います!……確かに先輩のこと見ていましたが…』




『なんで見ていたの?』




次から次へと問い詰められているせいで、私は少し頭が混乱していた。




『な、なんでって…と、とにかく見ていただけなんです!』




『ん~…じゃ~あずにゃんは見るだけでいいの?見ているだけで満足なの?』





『は、はい!私は見ているだけで幸せなんです!』




(思わず口から出ちゃったけど、なんか私、さっきから変なこと言ってる…。「見ているだけで幸せです」って、「好き」って言ってるようなもんじゃ…)




『ふ~ん…ねぇ、あずにゃん』




先輩は、いつもの声のトーンより低い声を出し、私の目を見つめてきた。
先輩の目は、まるで私の心を見透かしているようだった。




『ひゃい!?』




いきなりの先輩の変わりように私の声は裏返ってしまう。




『本当は次に進みたいんじゃない?』




『つ、次って…?』




『キス。してみたいんじゃない?見ているだけじゃ我慢できなくなっちゃったんじゃない?』




『……』




先輩が言っている事が図星だったので、私は思わず黙ってしまう。
先輩の言う通り、私はここ最近見ているだけでは満足できなくなっていた。
でも私はどうすればいいかわからなくて、自分の気持ちに嘘を付いて誤魔化していたのだ。




『あずにゃん、素直になって。キスしたいの?したくないの?』




耳元に低い甘い声で囁かれる。
先輩の吐息が耳にかかって、私の肩はビクッと上下した。




『ッ…………たい』




緊張しすぎて声を上手く出す事が出来ない。




『ん?声小さすぎて聞こえないよ』




もうすでに、私の答えは一択しかなかった。




『…たいです。先輩と、キス、したいです』




『いいよ、しよっか。あずにゃん』




私の答えに対し、先輩はあっさりと了承し、私の顎を手でクイッと持ち上げた。




『あっ…』




顎を捉えられ真剣な目で見つめられたせいで、私は先輩から目が逸らせない。





『どこにキスしてほしい?ここ?ここかな?』





先輩はそう言いながら、人差し指で私の額とほっぺを指す。




『それとも、ここ?』




先輩の指はゆっくりと私のほっぺをなぞり、唇に到着した。




『そ、そこ…』




私はすかさず声に出す。




『ん?ここ?』




指で唇をぷにっと押された。




『…はぃ…ここが、いいです』




私がそう言うと同時に、先輩の唇が私のそれと重なった。



『ちゅ…』




『んっ…』




初めて触れた先輩の唇は、柔らかく湿っていた。
私の唇にしっとりと吸い付いてきて、とても気持ちがいい。




(私…先輩とキスしてるんだ…)




『…んちゅ…ちゅっ…』




『んっっ…んぅ…んん~っ』




もちろん私はファーストキスだ。先輩が私の初恋なのだから。
初めて、という事もあり、どうやって息を吸えばいいかまったく分からない。
私はうまく酸素を吸えなく、息が苦しくなっていた。
そんな私の事など知る由もない先輩は、さらに深く口を押し付ける。




『ちゅっ…うちゅ…ちゅ…』




『んちゅっ…ん…ふ‥ぷはっ、ふぁっ、せんぱ!ぷあっ!』




息が出来ないのに耐えられず、私は先輩の唇から離れてしまった。




『ありゃ、もう終わり?』




『はぁ!はぁっ!はぁっ、…はぁ、はぁ…』




私の肺は、酸素を取り込むのに忙しなく上下する。
心臓も煩いほどバクバクと脈を打っている。



『他にしてほしい事は?』



先輩は休む暇もなく、私に次の誘惑を振った。




『…他に…』




必要な酸素を取り込んだ事により、呼吸が大分落ち着いてきた。




『うん、なんでもいいんだよ~?』




ボーッとうまく働かない頭で、先輩を見つめる。
愛しい、愛おしい先輩が、なんでもしてくれるってさ。
私の脳は「この人が欲しい、欲しい、欲しい」と指令を出した。



『“好き”って言ってほしいです。強く抱きしめてほしいです。“あずさ”って呼んでほしいです。もっともっと…キスしてほしいです…』



私の口は止まらない。
もう先輩の事以外何も考えられなかった。




『あははっ、あずにゃん要望多すぎだよ~。それにキスはさっきしたよ~?』



先輩は笑いながら私の唇を指で撫でる。
唇から伝わる先輩の指の感触に、私はプルッと震えてしまった。




『でもいいよ、“あずさ”。なんでも言う事聞いてあげる』




『!』




名前で…“あずにゃん”ではなく“あずさ”と呼んでくれた。
それだけで私の鼓動は強く高鳴る。
そしてゆっくりと、先輩の綺麗な顔が近づいてきた。




『あずにゃん…目、閉じて?』




私は素直に目を瞑り、キスがし易いように唇を尖らせ、先輩のキスを待つ。
しかし先輩の息が顔に当たるのを感じた瞬間、なぜか先輩はいきなりパッと私から離れてしまった。
不思議に感じ私はゆっくりと瞼を開ける。
するとそこには悲しそうな顔をしている先輩がいた。



『ごめんね、――だっ― ー…』















ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ



「バンッ!」



耳障りな音に私の手は自然にその音を出している元凶を叩く。




リリリリリジリッ


目覚まし時計の音が止まると同時に、私はむくっと体を起こした。
私は二度寝などしない。寝起きは良い方なのだ。



「ゆ、夢…」



今更ながら、改めてさっきまでの事は夢だと思い出す。
すごいリアルだった。今でも夢だと信じられないほどだ。
感触とか、匂いとか、すごく――



(すごく…気持ちよかった…な…)




何度か唯先輩の夢を見た事はあるが、こんなにすごいのは初めてだった。
目覚ましが鳴らなかったら、一体どうなっていたのだろう。
そんな事を考えながら、私はむずむずする太ももを擦り合せていると、ふと下半身に違和感を感じた。



(なんか…気持ち悪い…)



私はパジャマのズボンを引っ張り、異変を探す。




「!?な、なにこれ…!?」




そこには、パジャマにまでシミをつくっている、ぐっしょりと濡れた私のパンツがあった。







【梓の夢想@後編】へ続く。

| 【「梓の○○」その2 梓の夢想】 | 23:50 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

≫ EDIT

【唯梓連載「梓の○○」シリーズその1 梓の自覚】

あなたはいつもふざけて私に抱きつくんでしょうけど、
そのたびに私は速くなる胸の鼓動を抑えるのに気が気じゃない。
この不純な気持ちに気づかれたくなくて「離して下さい」と言っても、
より一層きつくきつく抱きしめ離してくれないあなた。
もしかしてあなたも同じ気持ちなのかな?と思わず考えちゃうけど、
背中に伝わるあなたの鼓動は気持ちよくなるほどゆったりとした一定のリズムで…。



私だけこんなドキドキしてずるいです――







【唯梓連載「梓の○○」シリーズその1 梓の自覚】






私が軽音部に入ってから1ヶ月が経とうとしている。
でも最近、私はティータイムばっかりしてだらけてる先輩達を見ていて「この部活大丈夫なのかな?」と不安を感じていた。
だらだらお菓子ばっかり食べて、私の求めていた理想の練習をしない。
そんな先輩達を見ていられなくなった私は、怒ってばかりいた。口癖が「練習!」になってしまったほどだ。
それでもなかなか真面目に練習をしない先輩達に私は痺れを切らして、軽音部を辞めて外のバンドに入ろうと考えた。


そう決意してから私は、ここ数日毎日色々なライブハウスに足を運んでいる。でも、どのバンドの演奏も私の耳には陳腐な音にしか感じない。
毎日音を右から左に聞き流している最中、「なぜ?」とぐるぐる頭の中で考えていた。



―――そもそも私が軽音部に入った理由は何だっけ?












考えても考えても答えが見つからない私は次の日、数日休んでしまっていた軽音部に顔を出しに行った。




「こ、こんにちは…」




音楽準備室のドアをそっと開けると、そこには練習中の先輩達がいた。




(私が居なくてもちゃんと練習してたんだ…)




そんなの当たり前だ。でもなんでか私の胸はチクリと痛くなる。
ドアの近くに立ち尽くしている私に先輩達は気づくと、演奏を止めて一斉にこちらに近づいてきた。




「梓!最近来ないから心配してたんだぞ?どうしたんだ?」





「ここ数日は毎日真面目に練習してたんだぞ!…ってどうしたそんな暗い顔して…まさか辞めるって言いに来たんじゃ…!?」





「梓ちゃん…そうなの?」





(先輩達すごい心配そうな顔してる…言いにくいな。皆さんこんなに心配してくれてたのに、あんな自分勝手な行動してひどい事考えて…)




「あずにゃ~ん!辞めちゃ嫌だよぅ~」




私がいつまでも俯いて黙っていたら、唯先輩はギターを背中に回して私に抱きついてきた。
ふわっと先輩の匂いが私の鼻に入る。




(唯先輩に抱きつかれるの久しぶり…。いい匂い…)




私は久々に先輩に抱きしめられたことにより、不安でいっぱいだった心が少し落ち着いてきた気がした。




(…今なら言える)




「…聞いて下さい。実は私、軽音部辞めようと思ってたんです。軽音部は私の想像していた部活とは少し違いましたから…。
それで他のバンドに入ろうと考えて、数日間部活に行かずにライブハウスに行ってました。…でも、どのバンドの演奏も全然耳に入らないんです。演奏は断然うまいはずなのに、私の心には響かなかったんです。
私、それが何でなのかがいくら考えても分からなくて…。どうしてなんでしょうか…っどうして、私は軽音部に入ろうと思ったんでしょうか…っ教えてください…っ」





ぽたりぽたりと唯先輩の肩を濡らす水滴。
私は感極まって泣いてしまっていた。





(こんな自分勝手に動いて先輩達に心配かけて、挙げ句にこんなへんてこな質問するなんて…私、最悪だ…)





「梓…」




「梓ちゃん…」




「………そうだ!演奏しようよ!」




唯先輩は私からそっと離れると、そんな事を言いだした。




「唯?」




「あずにゃんは新歓で私達の演奏を聴いて入部してくれたんだよ!だからもう一回、あずにゃんのためだけに演奏しよう!そしたらあずにゃんも何か分かるかもしれないよ?」





そう言って「ふんす!」とギターを構える唯先輩。
その真剣な表情に私は少しドキッとした。




「唯…。そうだな!演奏しよう!」




「そうね!やりましょう!」




澪先輩とムギ先輩も自分の持ち場につく。
律先輩もドラム椅子に座り、スティックを上に思いっきり上げ大声を出した。




「梓~!しっかり聴いとけよ!いくぞ、ワンツースリー!」




律先輩の元気な掛け声と合図で演奏が始まる。
曲は私も知っている「わたしの恋はホッチキス」だった。
私は涙で見えない視界を手で擦り、目を凝らしながら先輩達の演奏を聴く。




(唯先輩、私が一週間前に教えたとこまたミスしてる。律先輩のドラムも少し走り気味、…なのに…)




なのに先輩達の演奏は、私の口を通り喉を抜け心臓にまで響き渡る。




つまりとても“良い”んだ。




さっきまで暗い気持ちだった私の心が演奏によって洗われるようだった。



サビに入る直前、パチッと唯先輩と目があった。
先輩はにっこりと私に微笑み、次のフレーズのためにハッと口に酸素を取り込む。
私も先輩に釣られてハッと息を飲みこんだ。




そして―――――












私の目の前は真っ白になっていた。
蘇る記憶。
体育館で見た新入生歓迎会。
そこで初めて見た唯先輩。




先輩は楽しそうにギターを弾いていた。
そんな先輩の姿を見て、この人達と一緒に演奏したらどんなに楽しいんだろうって思ったんだ。
私は足の爪先が痛くても構わずに、めいいっぱい背伸びをしていた。
私の目に、この瞬間が、先輩達が映るように。
私は五感全てを使い演奏を聴いていた。
先輩の歌声、ギターを弾く指先、体育館に広がる優しい匂い、それになにより、唯先輩の笑顔。
私は一目見た時から、唯先輩の笑顔に惹かれていたんだ。
練習ばかりにこだわって、一番大切なことを忘れてしまっていた。





私は唯先輩が、唯先輩のことが―――












ジャーン....








「ふぅ…やっぱ演奏するのは楽しいな!」




「あぁ、良く合ってたよ。きっとみんな同じ気持ちで演奏してたからじゃないかな」




そう言い律先輩と澪先輩は、お互いに顔を合わせながら笑い合った。




「梓ちゃん、どうだった?」



ムギ先輩が私に聞いてくる。とっさに私は答えた。




「あ、はい…すごく、良かったです…。あの、私、聴いてて気づきました、私が軽音部に入った理由…。私、先輩達の演奏が大好きです!なので、良ければまた…その…皆さんと演奏したいです…」




(なんて言ってみたものの、調子良すぎるよね、私。入ったり抜けたりして、こんな自分勝手でうるさい後輩なんて、先輩達うんざりしちゃったかな…。もう取り戻せないのかな…)




そう考えると途端に先輩達の視線が怖くなり、俯いてスカートをぎゅっと強く握り締める。
そうでもしてないと私の体は震えが止まらなかった。




(それでも…怖くても…私、答えが欲しい。)





私はおそるおそる先輩達の方を見た。









私の想像とは裏腹に、先輩達は優しい顔で私の方を見ていた。




「もちろんだ!梓はもう私達のメンバーなんだからな!」





ハニカミながら律先輩は私の頭をぽんぽんと優しく叩いた。




「律先輩…」




「良いに決まってるさ!当たり前だろ?とにかく良かったよ…。
梓、私達のバンドは確かにティータイムとかやっていて、梓からしてみれば真面目じゃないかもしれない。
私も最初はそう思ってたよ。でもこのみんな意外とバンドするとか考えられないんだ。ティータイムあってこそのHTTなんだ。必要な時間なんだよ、うん」



澪先輩はうんうんと頷きながら、私にそう語りかけた。



「はい澪先輩…ごめんなさい。私、練習ばかりにこだわって、大事な事忘れてしまってたんです。私も…私も先輩達意外とバンドを組むのは考えられません!」



「ふふっ、梓ちゃんおかえりなさい」



ムギ先輩はニコニコと優しい笑顔で私の事を迎えてくれた。




「ムギ先輩…ただいまです…」




私は先輩達の優しさにまた泣きそうになってしまう。
でもそこは持ち前の根性でグッと我慢をする。
泣いてばっかりじゃ示しつかないもんね。




そして――――




「あずにゃ~ん!!良かったよぅ~!!」




「すみませんでした、唯先輩…」




ものすごい勢いで唯先輩に抱きつかれた。
演奏したばかりのせいか、先輩の体温はいつも以上に熱く感じる。
唯先輩の腕が私の背中にまわされた。
私も無意識に先輩の背中に腕をまわしていた。




(先輩の体…熱い…頭がくらくらする…気持ちい…)



………
……






「どしたのあずにゃん、なんだかぽーっとしてるよ?」




「にゃ!?」



先輩に抱きしめられたまま顔を覗き込まれて、私は意識が覚醒してくる。




(考えすぎてぽーっとしちゃってたのかな、恥ずかしい…。…てか先輩!顔、近い!先輩の事考えてたからなんだか意識しちゃうよ…)




「でもこんな大人しいあずにゃんも可愛いよぅ~なでなで~」




「うぁ!?」




先輩の手で頭を撫でられた瞬間、ドクン、と私の胸は大きく一度跳ねた。
私の鼓動はそれだけでは収まらず、ドクンドクンドクンと痛いくらい何度も胸を跳ねる。




(な…痛い。なに、どうしちゃったの私の胸…っというか先輩にバレちゃう!おかしいと思われる!)




「は、離れて下さい!苦しいです!」





私は先輩の胸に自分の暴れる鼓動が伝わらないように、無理やり先輩から背中を向ける。
でも先輩は、私の事を後ろから被さるようにさっきよりもきつくきつく抱きしめてきた。




「あずにゃん分が足りないからまだ駄目~♪ぎゅ~」




「ぁぅ…」



私のドクンドクンと高速で打つ鼓動とは正反対に、背中から伝わるゆっくりとした先輩の鼓動。
首に伝わる吐息に、甘い声に、温かい体温に、私の胸の音はおさまらない。





(先輩…どうか、気がつかないで…)






「おふたりさーん、イチャイチャするのもいいけど、ほっとかれてる私達の事も考えてくださーい♪」




急に律先輩のからかう様な声が後ろから聞こえた。




「なっ!イチャイチャなんてしてません!」




茶々を入れられて私は途端に恥ずかしくなり、唯先輩からバッと離れてしまう。



「ぁ~ん、あずにゃーん~もっと~」


そんな事を言いながら、唯先輩が手を広げてふらふらと私の方に近づいてくる。
私はそんな迫ってくる先輩をヒョイっとかわしながら、声を上げた。



「もうしません!さぁ、練習しますよ!」



「え~!今日はもう力使い果たしたよ~」




「まだ下校時間までまで一時間ぐらい残ってます!」




「そんなぁ~。もうっ!りっちゃんのせいだよ。せっかくあずにゃん大人しくて可愛かったのに…ブツブツ」



唯先輩は、口を尖らせながら律先輩に文句を言う。



「ははっ、わりぃわりぃ。だってあのままだと終わりが見えなかったしな!」


そう言いながらカラカラと笑う律先輩。
ふと、ムギ先輩がこっちをウットリと見つめている事に気がついた。



「どうかしましたか?ムギ先輩」



「…yes」



「??」



「…あっ、違うの!ただ唯ちゃんに抱かれて赤くなってる梓ちゃんが可愛くって可愛くって…」




「なっ!赤くなってなんかないですよ!」




私は両手を上げキーっとムギ先輩に反論する。
そんな私を見て先輩達は笑い、澪先輩が頷きながら私に言った。



「確かに唯に懐いてるよな梓は。ギター組としてこれからも仲良くな?」



「み、澪先輩まで!?」













その後は、私の言ったとおりみっちりと一時間練習をした。
律先輩と唯先輩は最初ブツブツ言っていたけれど、練習を始めると皆楽しそうだった。もちろん私も楽しかった。




(やっぱり、私の居場所はここなんだね。もう迷わないよ)





そしてなんとなくだけど気づいた、唯先輩への想い。
他の先輩方ももちろん好きだけど、唯先輩だけは、なんとなく…違う気がする。



(これってやっぱり…こ、こ、こ――)




「あずにゃんどしたの?みんな片付け終わって帰っちゃったよ~私達も帰ろ?」




「……あ…すみません。今片付けます」




何だこのデジャヴは。私は意識を覚醒させる。
練習も終わり、片付けの最中にまたぽーっとしていたようだ。



ムギ先輩達は、何か急いでるとの事で先にそそくさと帰ってしまった。
なんだかムギ先輩が澪先輩と律先輩を引っ張っていた感じだったけど…。



(私と唯先輩の事、気を使ってくれたのかな…。まぁいいや、お陰で二人きりだし…帰りも…ハッ!)



まただ!またぽーっとしてしまうところだった!なんだかさっきから唯先輩の事ばっかり考えてる。
チラッと先輩を見る。
今も私はこんなにドキドキしているのに、先輩は至ってマイペースだ。




「…ずるい」




「むちゅちゅ~♪…ん?何か言った~?」



私の声が良く聞こえなかったみたいだ。
今先輩はギー太に夢中で忙しいらしい。



(ケースに入ってるくせに…ギー太め…)




私はそんな先輩の後ろ姿を見ながら自分のギターを背負う。




「…いえ、…先輩!片付け終わりました!帰りましょう!」



私は先輩の背中に大きな声を出す。



「うんっ帰ろ~!」



私の声が聞こえたのか、先輩はクルッとこっちを振り向くと、にこっと私に笑いかけた。



「!」



私は先輩の笑顔を見ていられなくて、バッと顔を後ろに背ける。



「どしたの?後ろなんか向いて…あ、忘れ物~?」



「ち、ちがいます!早く帰りますよ!」




私は早口でそう言い、先輩に背を向けながら歩き始める。




「え~?なんで怒ってるの~あずにゃ~ん」




早足で歩いている私の背中に抱きついてくる先輩。




背中に伝わるあなたの鼓動は、ゆっくりとしていて心地が良いけれど、私はそれだけじゃ満足できないんです。
私はあなたにこんなにもドキドキしているのだから、あなたも私にドキドキして欲しい。
私を好きになって欲しい。




だから―――




「やってやるです」




「ん~?」




「いえ…帰りましょうか」





いつか絶対、ドキドキさせてみせますから…覚悟しといて下さいね、唯先輩?











To Be Continued




ここまで読んでくれてありがとうございます。
この【梓の自覚】はアニメとか色々参考に書きましたが、律ちゃんが言っていた台詞を唯が言ったりと…なかなかひどいですねw
「梓の○○」シリーズは、あずにゃん頑張れ頑張れ!と言う気持ちで暖かく見守ってくれたらと思います。


一応誤字脱字チェックしましたが、まだまだある可能性【大】です。
見つけた方はコメで指摘などして下さるとありがたいです。

| 【「梓の○○」その1 梓の自覚】 | 23:26 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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